[アニメ感想] あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない (ネタバレ注意)

【公式サイト】

http://www.anohana.jp/

【ストーリー】

じんたんの目の前に突然現れた夏の魔物・めんま。自分だけしか認知出来ないその存在は、子供の頃に事故で命を喪った筈の女の子だった。
子供の頃から変わらない、無邪気な性格のめんまに手を焼きながらも、成仏させる為の条件である「めんまの願い事を叶える」にはどうしたらいいのか思索し始める。
彼女の為に東奔西走する最中、冷え切っていた昔の仲間たちとの関係も徐々に戻りつつあった。気弱だったぽっぽも、真面目だったあなるも、二番手だったゆきあつも、お澄ましだったつるこも。みんながみんな、夭逝してしまっためんまに対する想いを胸に引き摺りながら、大人になりかけていた。
“じんたんにしか見えていないめんま”に半信半疑であった面々も、軈てはその存在を慥かなものと信じざるを得なくなった。超平和バスターズは再び一丸となって、めんまを救うため尽力する——




【視聴後の感想】

夏の季節が呼び起こす切なさの物語
 『あの花』の要諦は、めんまを中心に据えた超平和バスターズの六人の関係性を描くことにあったと考える。数年単位の空白を経て生まれた間隙の緒は、一体何処にあったのか。次第に修復されていく関係こそが見所だったと感じる。
めんま
みんなのことが「好き」だったけど、じんたんへの「好き」は特別なもの。じんたんの母親と親密だった影響が、じんたんへの接し方の根底に見え隠れしている。自分の母親の気持ちを悟り、記憶を風化させることを阻害したじんたんらを怒ったり、弟への愛情は人一倍強かったりと、気配りでありながらお姉さんポジションとしての位置づけが強かった。
じんたん
めんまへの好意を照れ隠しで口に出来ないまま死別してしまい、もやもやとした気持ちを抱えた侭引き篭もりとなる。そんなじんたんを見兼たのか、めんまは突如として現れる。存在を受け入れるまでに時間を要したが、やはり放ってはおけない大切な存在だったことを認識する。
あなる
リーダーシップを取るじんたんのことがずっと好きだった。しかし、当の本人は自分に見向きもしてくれない。ゆきあつと共に仕組んだあの日から、ずっと後ろめたさを感じながら、それでも忘れ去ることは出来ないまま、何時まで経っても想い続けていた。バレバレの片想いは気楽なもので、終盤は特に隠そうともしない。素直になれたことの裏返しではあるが、以降の進展は限りなくゼロに近い。今後はどのようにして付き合っていくのだろう。………
ゆきあつ
めんまが大好きだった。しかし本人は見てくれない。昔から奸計を謀るのはゆきあつの仕事で、似たような境遇のあなるを巻き込んで一手を打った。その結果は、仕掛けた側からすると惨憺たるものとなる。めんまを独占するじんたんに対し次第に憎悪を覚え始める。在りし日のめんまと似た衣裳を揃えるほど執着が強く、視聴者への衝撃が大きかったキャラである。
つるこ
どちらかと言えば控えめな立場に居たつるこも、実はずっと前からゆきあつのことを好いていた。しかし当の本人は以下同文。身の程を弁えた積もりから「めんまには適わないけどそれでも……」といったポジションに居ようと努力を重ね続けていたが、あなるとゆきあつの似たもの同士から生まれる親近感を傍から見ているうちに、あなるへの羨望と妬みが犇犇と生まれ始める。めんまが居なくなったことでゆきあつの隣に近づけると思いきや、めんまのことを忘れようともしない態度に呆れながらも、交流は続けてゆく。複雑な想いであっても、自分を納得させながら。
ぽっぽ
弱虫ぽっぽが一番図体をでかくしたのだが、彼には抱え込んでいたトラウマがあった。それこそが「事故に遭っためんまを(結果的に)見捨ててしまった」こと。甚く後悔する羽目になり、暗い気持ちを吹っ切る為にも全国を転々としてみるが、どうしても拭い去れはしない。めんまを想うからこそ、ある種の呪縛の様な働きとなっていた。めんまを成仏させる目的が、自分の中の苦悩の解決と一致していたからこそ、尽瘁するに至ったのだ。
音楽のチカラ
EDテーマに採用された「secret base〜君がくれたもの〜」が秘める力は凄まじいものがある。歌詞が、メロディが、アレンジが、歌が、泣かせる為に作られたと言っても過言ではない。毎話次回へと続く箇所で効果的に流されてきたので、回を重ねる毎に曲を聴く→涙が出るのプロセスが盤石なものになるのだった。

【メモ】

めんまのお願いって結局なんだったのか?
(最終回によると)「生前のじんたんの母・透子が望んでいた『じんたんにはもっと泣いたり、笑ったりして欲しい』と云う願いを遂行してみせる」……と云う使命。
6人はなぜ疎遠になってしまったのか?
めんまが笑って、じんたんが走りだした時点で全員の肚の内は決まっていた……という訳でした。そこにめんまの逝去が加わったことが決め手になったようで。

【ひっかかるところ】

  • メインキャラクターに「あなる」といったニックネームを用いたこと
  • ゆきあつの劣情を「変態の行為」であることを認め、低俗性を加速させたこと
アニメの話に強いネットユーザーの心を掌握する為に、語り種になるような強烈なキャラクターを仕込むことが重要でなのだと実感させられます。前期で言うところの「巴マミ」(頸から上を食べられて絶命する。が、笑い処は特にない)「キュウべえ」(高圧的な態度を理由に虐待の正当性を見出される)とかが近い気がします。
前者はともかく、僕としては後者を肯定したいなどとは微塵も思っていません。周囲の消費者とは、なんだかんだでズレを感じてしまうことに歯痒い気持ちになります。。。

【総評価】

★★★★★
2011年春アニメでは、文句無しの断然トップな作品です。

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